アプローチ

現代の桃源郷

信楽の自然豊かな山中に佇むMIHO MUSEUMは、ルーブル美術館ガラスのピラミッドで知られる中国系アメリカ人のI.M.ペイによって設計されました。

中国の詩人、陶淵明の『桃花源記』に描かれた理想郷である桃源郷をモチーフにした構想は、しだれ桜の並木道に導かれ、トンネルと吊り橋を越えて美術館に至るという大らかで詩情あるアプローチを生みました。

美しく弧を描くトンネルを進むと、谷に架かる橋の向こう側に、入母屋型の屋根をしたエントランスが姿をあらわします。ペイの建築はワシントン・ナショナルギャラリー東館(アメリカ)、中国銀行(香港)などのように彫刻的でシンボリックなものが多いのですが、ここでは環境を保護するため全体の約80%が地中に埋設され、山に溶け込んでその全容を見せることはありません。

落ち着いた佇まいの入口に一歩足を踏み入れると、ガラスの屋根から降り注ぐ光と優しいベージュ色のライムストーンの壁面に包み込まれ、彼方まで穏やかな山々が連なる大空間が広がります。屋根全体の構造体であるスペースフレームは、最もシンプルな形である三角形を幾何学的に組み合わせ構成され、そこから生まれる大空間は構造美の極みと言えます。

東西文明の作品を楽しみながら展示室を出ると、そこにはいつも大自然とスカイライトに溢れていて、自然に中に佇んでいるような感覚を覚えます。「自然の中に同化した建物のすがたが、非常に意識的にデザインした結果だということをわかってもらえると信じている」とペイが語っているとおり、さまざまな美に触れながら内観的な空間をお楽しみください。

I.M.ペイについて詳しく

自然の中に同化した建物のすがたが、
非常に意識的にデザインした結果だということを
わかってもらえると信じている

I.M.ペイ

建築データ

設計・建築
I.M.Pei Architect
紀萌館設計室
構造
Leslie E.Robertson Associates
青木繁研究室
中田捷夫研究室
力体工房
設備
森村設計
施工・建築
清水建設
空調
高砂熱学
衛生
須賀工業
電気
関電工
地域地区
森林法保安林区域
砂防法指定区域
自然公園法県立公園第3種特別地域
面積・敷地面積
100万2000平方メートル
建築面積
9241平方メートル