雲錦蒔絵提重(伝山本春正作) - MIHO MUSEUM

雲錦蒔絵提重(伝山本春正作)うんきんまきえさげじゅう やまもとしゅんしょう

  • 江戸時代
  • 17-19c
  • 木製漆塗、蒔絵、銀、錫
  • H-25.3 D-16 W-29.5
  • 所蔵
    西本願寺伝来

 春の桜と秋の紅葉を表す、いわゆる雲錦蒔絵を施した行楽用の弁当箱である。錫製の徳利や提げ手にいたるまで同様の意匠が表されている。箱書によれば、山本春正(やまもとしゅんしょう)作とされる。初代山本春正(1610-1682)は、蒔絵師としての名声はもとより、和歌を良くし、漢籍を伊藤仁斎(1627-1705)に学ぶなど教養人としても知られる。代々京都の蒔絵師として活躍したが、5代春正正令(まさよし)の時より名古屋に移って、以後代々春正の名を継いだ。

蒔絵

蒔絵

 日本の漆工芸を代表する加飾法で我が国独自に発展した。漆で文様を描き、乾かないうちに金銀などの金属粉を蒔きつけて文様を表す。起源は奈良時代に遡り、正倉院の金銀でん荘唐大刀の鞘に施された末金るの技法と考えられる。

塩屋蒔絵硯箱 浄土図蒔絵小箱 梅月文螺鈿蒔絵文台 袋物蒔絵大鼓胴 藤蒔絵長持 秋草蒔絵香箱 菊蒔絵硯箱 蒔絵手拭掛 蒔絵角盥 亀甲蒔絵螺鈿鏡箱 桐蒔絵硯箱 籬菊蒔絵鏡箱 枝垂桜蒔絵徳利 菊桐紋蒔絵盥 葡萄蒔絵螺鈿水筒 枝垂桜桐巴文蒔絵茶器(胴張棗) 籬秋草桔梗紋散蒔絵厨子棚 雷雲蒔絵螺鈿鼓胴

解説(春の玉手箱)

 華やかな蒔絵で装飾されたこの弁当箱は、邸内や野外で催される遊楽の宴に使用された。
 四段の重箱、長方形の盆、銀製の徳利と両面に透かしを持つ外枠からなり、それぞれに桜と紅葉からなるいわゆる“雲錦”のデザインが表されている。あたかも片身替のように桜と紅葉とが舞い散る風情に、四季の移り変わりを愛でてきた日本人の眼差しが込められている。
 近世初期の風俗画にしばしば見られるこのような華やかな弁当箱は、飲食物を携行する道具としてのみならず、非日常的な晴れの場をより一層盛り上げてくれる大切な小道具であったことは想像に難からない。江戸時代の蒔絵師山本春正作の伝承がある。

Catalogue Entry

This lunch box decorated with elegant maki‐e lacquer designs would have been used for a festive setting either indoors or outdoors on a picnic. Both sides have openwork patterns forming an outer framework for four box layers, a rectangular tray, and a silver wine bottle. Each is decorated with a design of cherry blossoms and maple leaves. This mix of seasonal imagery in a dancing, wind‐swept alternation reveals the Japanese love of the country's four seasons and their many changes.

This type of festive lunch box which can frequently be seen in the genre scenes of Japan's early pre‐modern period would have been used not only as utensils for food and drink, but also as something slightly out of the ordinary to heighten the mood of a party. This box is traditionally attributed to the Edo period lacquer artist Yamamoto Shunsho.