古瀬戸灰釉印花文瓶子こせとかいゆういんかもんへいし

  • 愛知県・瀬戸窯
  • 鎌倉時代
  • 14c
  • 灰釉陶製
  • H-28 D-18

 中国の白磁を模倣した中世唯一の施釉陶器である古瀬戸は、中国陶磁とともに中世の前期から広い範囲で各地に流通している。この瓶子はいわゆる梅瓶(めいぴん)を模倣したもので、その形状は古瀬戸の中期前半にあたる鎌倉時代末期(14世紀初)の作であることを示している。肩には菊の印花文が3つ逆三角形状に六方に捺され、胴部には5条の櫛描文が施されている。褐緑色の灰釉が肩から底部にかけて流れ落ちるようにかかり、小振りながら豪快な作行きを呈している。

瀬戸窯(せと)

愛知県瀬戸市を中心とする最大級の窯業地帯です。その歴史の長さと窯業の盛んなことでは随一で、瀬戸物と言えば陶磁器というくらい広く名が知れ渡っています。古瀬戸は鎌倉から室町時代にかけての中世瀬戸窯の施釉陶器を指します。


古瀬戸灰釉瓶子 瀬戸芋子茶入

梅瓶(めいぴん)

中国で口径の小さいものを梅の痩骨と呼ぶことからきた名です。中国では宋代の青白磁に多く見られ、朝鮮では高麗青磁や粉青沙器(ふんせいさき)に見られます。日本ではこの古瀬戸の瓶子がそれにあたります。


古瀬戸灰釉瓶子