宮嶋釜みやじまがま

  • 江戸時代
  • H-22.8 D-25.7
  • 所蔵
    伝来=徳川家康─大久保藤五郎 益田孝旧蔵
宮嶋釜

宮嶋釜 極 図録解説
伝来=徳川家康-大久保藤五郎
広い立口、口縁から一段凹みながら肩となる。肩は張っており広がりつつ羽にいたる。胴中央に「宮嶋」の文字を鋳出し、鐶付は鳥居である。縦に割った鳥居を左右につけ、宮嶋の文字を鋳出した釜にぴったりの鐶付である。
この釜には逸話が添う。徳川家康が難しい江戸の上水路を見事に完成した大久保藤五郎(?~1617)に「主水(もんと)」の名を与え、自ら水源の井の頭に出向き、宮嶋釜で湯を沸かし、茶を点て、釜は恩賞として下賜したという。近代の数寄者・益田鈍翁は、この柳営御物を入手し、昭和4年10月17日の石黒況翁(きょうおう)、朝吹柴庵(あさぶきさいあん)、高橋箒庵(そうあん)らを招いた茶会において、井の頭から取り寄せた水をこの釜で沸かし、茶を点てたという。

[銘文]陽鋳 正面「宮嶋」
[冊子]「宮島御釜記」
「大久保主水先祖藤五郎忠行 天正/十八年駿河にてまみえ奉りし時/江戸は水あしきより いそきまかり/て上水を見立へきむね 仰を蒙/り 武器・御服・路次の用途等賜ハりて 江戸神田福田村に至り井の頭/の池水を引とになりぬ その由申/上けれハ すみやかに成し をはめ」
「させ給ひて主水といへる名と山越/といへる名馬を賜ハり 歩行不自/在なれは 御くるわうちとても乗て/ゆきゝすへきむね御ゆるしかうむり /御うち入のゝち水源を見そなはせ/給ひて池水をもて芝野にて御/茶を召上られし時 三河餅を進らせ/御茶終て宮島と名有御釜を賜」「はり水の濁らさるやうにもんとゝ/澄て唱ふへきよし仰下されたり/此御釜のと執政参政の方々聞せ/たまひて九代主水忠宜に文化七年/六月七日参政水野出羽守忠成朝臣/より繪圖をまいらすへき旨 仰下/されぬ そのもとは執政吉田侍従/のもよほさせ給ひしとテ 八日に繪圖を」
「参らせ十七火に宮島を持出たれは/御城に止り 執政参政給事中の/かたゝ西の御所の方々まても残り/なく見させ給ひしとテ 廿五日に返/し給ハり 先祖恩賜の品よく傳へし/事 家の規模なりと仰下されし/かは 弥ひめをくことゝなりぬ その/としうの月源弘賢しるす」
「宮嶋釜/(図)」
「天正十八年拝領/ 宮島御釜 大サ如図/( 原寸大図)/惣高サ六寸六分 口径五寸五分 肩圍/二尺二寸許 胴圍二尺四寸五分許、右有/くわん銜つき鐶鳥居乃形 はに波水玉の鋳/ 文のミニ候 蓋胡鋼」

Miyajima Kettle

Miyajima Kettle
The raised mouth is broad and encircled with a depression before the shoulders broaden. From the shoulders the sides widen slightly as they descend to the flange. At the center of one side the characters "Miya-jima" are cast in relief. The lugs, in the shape of a torii gate that has been divided in the middle and attached right and left to the kettle, are well suited to the piece. The anecdote that accompanies the kettle goes that Tokugawa Ieyasu accorded Okubo Togoro (d. 1617) the name "Mondo" for successfully completing Edo's water supply system; Ieyasu went himself to the water's source at Inokashira, boiled water in the Miyazaki kettle, made tea, and then presented the kettle to Okubo as a reward. The modern-day tea connoisseur (sukisha) Masuda Don'o obtained this piece that had been handed down in the Tokugawa family (ryuei gomotsu) and on October 17, 1929 used it to boil water especially obtained from an Inokashira source to make tea at a gathering inviting his fellow connoisseurs Ishiguro Kyoo, Asabuki Saian, Takahashi Soan, and others.