有翼獣文様鉢ゆうよくじゅうもんようはち

  • イラン
  • アケメネス朝ペルシア
  • 前6世紀
  • 銀、金
  • H-6.5 D-9

側壁の傾斜が急なこの半球形の銀製鉢は、4段に配置された金のアップリケと、金箔で作られた底面いっぱいに広がる22弁の円花文でにぎやかに飾られている。ロータス花とパルメットの連繋文で構成された最上段の装飾帯で始まるこの鉢の装飾モティーフは、アケメネス期のレパートリーに極めて忠実に従っている。2番目の装飾帯には、頭を後方に向けて大股で歩いている合成動物が14頭見られる(現在1頭は失われている)。1本の角をもった牡牛頭スフィンクスと思われるこの動物は、かぎ形に曲がった特徴的な翼、体の側面に沿って浮き彫りで表現された第二の翼、そして様式化された筋肉組織をもつ姿で表現されている。これらの特徴は、円筒印章、衣服のアップリケ、建物の浮き彫りなどのようなアケメネス期の様々の美術品にみられるものである。2本の角を持った牡羊頭スフィンクスが12頭、次の装飾帯をめぐっており、さらにその下には、うなりながら大股で歩いている7頭のライオンが描かれている。ライオンは最もていねいに造形されており、開かれた口の中には門歯が見え、たてがみは規則正しい列をなして表現されており、肩部には8の字形の筋肉組織が表現されている.

ペルシャのはじまり

紀元前7世紀末から6世紀初頭にかけて、メソポタミアの最大の帝国アッシリアとその最大のライバル、ウラルトゥは、あいついで北西イランのメディアと南メソポタミアのバビロニアの同盟勢力のもとに降り、更にそのイラン系メディアは西アジア世界を初めて統一する大帝国となりました。

イラン系メディアは程なく東南イランの大きい同盟勢力であったイラン系ペルシャに取って替わられ、アケメネス朝ペルシャが立ちました。

紀元前8-7世紀のこの混沌とした時代を通じて、これらメディア、ペルシャなどのイラン民族は好戦的な神々を仰ぐ伝統的な宗教から、秩序と正義そして平和をもたらす世界の救世主をあおぐゾロアスター教に急速に転向して行きました。

彼らは世界を善悪の対立としてとらえ、最終的に善の勝利としての審判が到来するとする終末論から、現実の世界の変容を求めました。

それは絶対善の創造神アフラ・マズダーのもとに統一された世界、アフラ・マズダーから多くの者の中の唯一の王となされた王を頂く巨大帝国をつくりあげることであったと言えます。

Mary Boyce/ A History of Zoroastrianism/ Leiden I- 1996-172ff. , II- 1982- 105 ff.

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帝都建設の銘文

――そして此は私がスサに建てた宮殿。その資材は遠方より齎された。地面を地中の岩盤まで深く掘り下げた。土を取り除くと砂利が敷き詰められ、あるところは40キュビットあるいは20キュビットに達した。宮殿はこの砂利の上に建てられたのである。地中深く掘り、砂利を敷き詰め、泥煉瓦を作る―――――これら全ての作業はバビロニア人が行った。 杉材はレバノンの山からアッシリア人がバビロンまで運び、カリア人イオニア人がスサまで運んだ。シッソ材はガンダーラとカルマニアから、ラピス・ラズリ、カーネリアンの準貴石はソグディアナから。トルコ石はホラズム、銀とエボニー材はエジプト、壁の装飾はイオニア、象牙はエチオピア(クシュ)やインドそしてアラコジア、石柱はエラムのアビラドゥから運ばれた。石職人はイオニア人、リディア人。金細工師、象嵌細工師はメディア人、エジプト人。バビロニア人は煉瓦を焼き、メディア人、エジプト人は壁を装飾した。 このスサにすばらしいものを建てんとし、すばらしいものができた。願わくばアフラマツダの神が私、父ウィスタシュパそして我が同胞をみそなわし賜わんことを。

Walter Hintz/ The Elamite Version of the Record of Darius's Palace at Susa / 1950 Journal of Near Eastern Studies Vol.IX No.1

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技法;金製アップリケ

この鉢は銀の一枚板から鍛造されており、連続した円列のある線が彫り出されて装飾帯を縁取っている。これらの縁線は押し当てられた金箔で覆われている。金製のアップリケは前もって型のうえで打ち延ばして成形され、鉢の表面の彫り込みに置かれており、本来は銀の舌状突起の下にはめ込まれていた。現在はこの鉢の銀の表面が腐蝕している為に、ほとんどの箇所で舌状突起が失われており、アップリケの大部分は現代の接着剤によって固定されている。

Catalogue Entry

This steep-sided hemispherical silver bowl is enlivened with gold appliqué arranged in four registers and with a twenty-two petaled gold-foil rosette covering the base. Beginning with the uppermost register, a frieze of joined lotus flowers and palmettes,1 the motifs depicted on this bowl follow the Achaemenid repertoire very closely. The second register shows fourteen striding composite beasts (one is now lost) with their heads looking backward. The animals, perhaps bull-sphinxes with a single horn, are executed with the characteristic hooked wing, secondary set of wings shown in relief along the sides of their bodies, and stylized musculature seen on such varied Achaemenid objects as cylinder seals, clothing appliqué, and architectural reliefs.2 Twelve double-horned ram-sphinxes circle the next register, while seven striding, snarling lions are depicted below. The lions are the most carefully formed, revealing their incisors within open mouths, manes rendered in regularized rows, and "figure-eight" musculature at their shoulders.

The bowl has been hammered from one piece of silver, with beaded-wire borders formed by carving framing the registers. These borders are covered with gold foil, which has been pushed and tooled into position. The gold appliqué, preformed over a matrix and set into spaces carved into the surface of the bowl, originally were fitted below a silver lip. The lip is now lost in most areas due to corrosion of the bowl's silver surface so that the majority of the appliqué are secured with a modern adhesive. The surface has been cleaned extensively and some of the appliqué-all of which appear to be original-have been repaired. Along with many ancient objects from Iran now in the Shumei collection, the bowl bears the nearly invisible stamp of a v within a triangle-probably the mark of a modern collector-located here on the rim.
NT


1. See Muscarella 1992, p. 230.
2. For a clearly visible example see Pope and Ackerman 1977, vol. 7, p. 95.