越前大甕 - MIHO MUSEUM

越前大甕えちぜんおおがめ

  • 福井県・越前窯
  • 室町時代後期
  • 16c
  • 自然釉陶製
  • H-76.5 D-69

 室町時代後期の越前大甕を特徴づける優品のひとつである。この大甕は胴に丸い膨らみを持っており、中央部分に最大径があるのは後期でもやや古式に属するものと考えられる。非常によく焼き締まっていて、器の半面には鮮緑色の自然釉が流れ落ちるように
かかり、その先端が藍・茶褐色に変化して見事な景色をつくっている。

室町時代後期 16世紀
高:76.5cm 口径:46.0-48.5cm 胴径:68.5cm
底径:23.0-23.5cm

室町時代後期を特色づける越前大甕の優品の一つである。直線的に外に開いた短い口頚部の上からやや下がったところに突線帯が残されていて,N字状口縁の痕跡を留めている。胴は丸く膨らみをもっていて,中央に最大径があるのは,後期でもやや古式に属するものと考えられる。非常によく焼き締まっていて,器の半面に口頚部から胴の下半にかけて鮮緑色の自然釉が流れ落ちるように掛かっていて,その先端が藍・茶褐色に変化して見事な景色をつくっている。

この頃から越前窯は大規模な大窯生産に転じ,大量生産を行うことによって日本海北部一帯をその商圏におさめ,北陸唯一の大窯業地としてその盛期を迎えた。(楢崎)

自然釉(しぜんゆう)

素地の表面に窯内で燃料の薪の灰が付着して熔けて釉となったもの。自然にかかった状態なのでそう呼びます。この発見によって木灰が使われるようになったと考えられています。

信楽大壺 信楽壺 越前大甕 信楽一重口水指 信楽桧垣文蹲壺 常滑経甕

越前窯(えちぜん)

福井県織田町(おたちょう)、宮崎村を中心に170基以上の窯が分布する中世以降の北陸地方最大の窯業地です。平安時代末期に常滑窯の影響を受けて成立したといわれています。中世には壺、甕などの無釉陶器を生産し、鎌倉時代後期から室町時代にかけて最盛期を迎えました。その流通圏は日本海沿岸を中心に北海道から鳥取県に及んでいます。室町時代後期以後、窖窯から地上式の大窯に移行しました。


越前大甕

窖窯(あながま)

丘陵の斜面をくり抜くか細長い溝を掘って上部を被せるかしてスサ入り粘土で天井と側壁を塗り込めて作る地下ないし半地下式の窯で、地表の傾斜を利用して炎の引きを強くして高温を得る仕組みです。5世紀中頃に朝鮮から伝えられた須恵器窯に始まる古代・中世を代表するわが国最初の本格的な窯で、16世紀に大窯にとって替わられるまで続きました。

越前大甕

大窯(おおがま)

窖窯に替わって室町時代後期の出現した半地上式の窯です。地方によってその形態は異なりますが、窖窯と比べて面積、体積が2倍以上も大きいものです。


越前大甕

Catalogue Entry

Late Muromachi period, 16th century
Echizen ware, natural ash glaze
Height, 76.5cm; mouth diameter, 46.0-48.5cm;
torso diameter, 68.5cm; base diameter, 23.0-23.5cm

This is a splendid example of the type of large, wide-mouthed jars that were characteristic of the Echizen kilns in the late Muromachi period. The short, slightly flaring mouth-neck area shows traces of an N-shaped mouth rim in the protruding band that is just below the top edge of the mouth. The torso swells in a round form, and this type of jar with its largest diameter at the center of the form is indicative of a later period, albeit of a slightly older style. The jar is extremely well-fired, and half of the surface of the jar is covered in a flow of fresh green natural ash glaze that extends from the mouth edge to the lower half of the torso. The tips of these ash glaze rivulets turn a particularly striking range of indigo and brown colors.

Around this period, the Echizen kiln sites changed to production in large-scale ogama kilns and became the sites of mass production. These jars were marketed along the northern Japan Sea coast region, and this marked the beginning of the prosperous period of the Hokuriku region's only large-scale kiln center. SN