観音立像(興福寺千体仏のうち)かんのんりつぞう(こうふくじせんたいぶつ)

  • 平安時代
  • 12c
  • 木造彩色
  • H-40 W-11.8
  • 所蔵
    興福寺伝来

千体仏は正しくは賢劫(けんごう)千仏といい、賢劫すなわち現在の劫(非常に長い時間の単位)にすでに現れた過去の4仏と将来出現するであろう弥勒以下996仏を合わせていう。数多くの経典に説かれ、インドから日本にかけて広い範囲で流布した。絵画や彫刻も多く残され、日本では三十三間堂(京都)の千体千手観音像などが著名な例として挙げられる。この観音立像は、平安時代後期の藤原期に、藤原氏が興福寺に奉納したもののうちの一体と伝えられる千体仏である。左手に蓮華を持ち、当初は彩色が施されていたことが見てとれる。無垢な中にも荘厳さを感じさせる面立ちの観音像である。