口の中に広がるすっきりとした甘さ、そして深い余韻。MIHO MUSEUM でコーヒーを注文すると、ブラジル、ジャカランダ農場のコーヒーが運ばれてきます。たっぷりと注がれたカップを顔に近づけると、あたたかい湯気と豊かな香りが広がります。このコーヒーのマイルド感はどこからやってくるのでしょうか?豆が熟す頃に外皮と豆の間にできる甘い汁が、天日干し中にじわじわと豆の内部に浸透してきます。その甘味を引き出すように、ほど良くローストされた豆…でも、この特別な味と香りの秘密はそれだけではありません。

農場の葉の量を調査する研究熱心な
カッシオ・フランコ・モレイラさん

2012年、ジャカランダ農場のカッシオ・フランコ・モレイラさんがMIHO MUSEUM にやって来ました。おだやかな表情で農場とコーヒーの話してくれたカッシオさんは、農場の管理をしながらWWFの環境活動にも精を出しているとのこと。彼のおじいさんは、ブラジルで初めて、コーヒー豆の有機栽培に取り組まれたカルロス・フランコさん。1990年代初頭、当時は誰もが当たり前のように使っていた農薬。ある日、畑に撒く液体を、間違えて飲んだ牛が死んでしまったそうです。こんなものをコーヒーの畑に撒いてはいけない!すぐに農薬の使用を止め、有機栽培に切りかえたのです。月日は流れ2007年、MIHO MUSEUM の食材担当者のあつい想いに打たれジャカランダ農場に、秀明自然農法でコーヒーを栽培する特別なエリアが設けられました。農薬も肥料も一切使わない畑です。

ブラジルで最初に有機農法でコーヒー栽培を始めた
カルロス・フランコさん

秀明自然農法による畑では、自然の恵みに目を向けてコーヒーの木が欲している環境を整えるよう努めており、バナナ畑にコーヒーの苗木を植える試みも始めたとのこと。バナナとコーヒーは、同じ土質を好みとても仲が良いという理由です。また、コーヒーの木に交ざって植えられた背の高いペレイラという木は、暑い時期に青々とした葉っぱをたくさんつけて木陰を作ってくれるので、強い直射日光が苦手なコーヒーの木にはありがたいパートナーです。寒くなると葉を落とし、枯れ葉が根元をあたたかく包み込んでくれるし、葉のない枝の間からは太陽の光がよく入り、ほんわか大地をあたためる。そんな木たちが同居するのが、ジャカランダのコーヒー農場です。一見ジャングルのよう?でも、これこそが自然本来の姿ではないでしょうか。

ところで、ジャカランダ秀明自然農法の畑では、豆の収穫量が落ちてきているとのこと。それは、以前の有機肥料から栄養を吸っていた根っこがどんどん地下へ伸びて、土から十分に栄養を吸収しようとしている最中であり、もっと強くなる過程だからだと、カッシオさんは分析しています。少しの疑いもなく、落ち着いて語る彼の言葉は自然体そのものでした。本物の土に到達する時、大地のエネルギーをたっぷりと吸い上げたコーヒーがさらに楽しみです。

最後に付け加えると、ジャカランダ農場の作業は全て人力!バナナあり、斜面ありのジャングルみたいな畑だからという理由もありますが、その土地の人々が代々続けてきた労働を大事にしている証です。地元の人々がずっとそこに暮らしていく事、仕事を次世代に繋げていく事を大切にしているのです。ジャカランダ・コーヒーのマイルドで優しい味には、農場で働く人々を家族のように大切にしたカルロスおじいさんのあたたかい気持ちもこもっているのかもしれません。

コーヒーの表面に浮かぶ、
きめ細かいクレマ

人も自然も大切にするコーヒー作りを次世代に繋ぐジャカランダ農場のコーヒー、大地からの贈り物を是非、味わってみて下さい。

一見ジャングル?
バナナの木の間で育つコーヒーの苗木

熟した秀明自然農法のコーヒーの実