梅下絵隆達節断簡うめしたえりゅうたつぶしだんかん

  • 桃山時代
  • 17c
  • 紙本墨書金銀泥
  • H-33.8 W-89.9

桃山時代 17世紀 慶長10年(1605)
紙本墨書金銀泥
縦:33.8cm 横:89.9cm

堺の高三隆達によって始められた「隆達節」は,慶長年間(1596~1615)に流行した歌謡で,この隆達節をおよそ百種をおさめた巻物が作られたのだが,今は諸所に分蔵されている。
この巻物の特徴は,料紙に肉筆による装飾を施すのではなく,木版の金銀泥刷によって梅蔦細竹太竹を表現している点である。本図はそのうちの梅の部分の断簡で,梅の他の部分はたとえば東京国立博物館に所蔵される。
巻末にあたる部分は京都民芸館の所蔵で,そこには,慶長10年(1605)9月,高三隆達自身が京の豪商として名高い茶屋又四郎にこの巻物一巻を贈った旨が記されている。
なお,俵屋宗達による金銀泥下絵巻物とこの木版金銀泥刷下絵巻物とは,深い関係があることは確かではあるが,宗達との直接的関係を断定するのは時期尚早とすべきであろう。 (狩野)

Catalogue Entry

Momoyama period, 17th century (dated 1605)
Hanging scroll, ink, gold and silver on paper
Height, 33.8cm; width, 89.9cm

The Ryutatsu Bushi verse form was begun by Takasabu Ryutatsu of Sakai, and it became a fashionable verse form during the Keicho era (1596-1615). A handscroll with some 100 forms of this Ryutatsu Bushi verse was created, later separated into segments, and is at present distributed among numerous collections.

The defining characteristic of this handscroll lay in the woodblock-printed decoration of the support paper in gold and silver paint showing designs of plums, ivy, thin bamboo, and thick bamboo. The present work is a fragment of the plum section, and another example of a fragment of the plum section is in the Tokyo National Museum.

The end of this scroll is presently in the collections of the Kyoto Mingeikan and bears an inscription by Takasabu Ryutatsu himself dated in the 9th month of 160 (Keicho 10) in which Ryutatsu states that he has presented this scroll to Chaya Matashiro, famous as a wealthy merchant of Kyoto.

There is clearly a deep relationship between Tawaraya Sotatsu's underpaintings in gold and silver on handscrolls and this woodblock-printed gold and silver paint underpainting; however, it would be premature to determine a direct relationship with Sotatsu. HK

俵屋宗達

 ?~1640頃。桃山~江戸初期の画家。琳派の様式の創始者。富裕な町衆の出身で、屋号を俵屋といった。日本の伝統的な絵巻物などの技法を消化して大胆な装飾化を加える一方、水墨画にも新生面を開き、その柔軟な筆致や明るい墨調などによって日本的な水墨画の一つの頂点をなしている。「風神雷神図」(京都・建仁寺蔵)、「蓮池水禽図」(京都国立博物館蔵)などが代表作である。

狗を抱く童子図(俵屋宗達筆) 雪中鷺図 俵屋宗達筆、烏丸光広賛 伊勢物語図色紙 第五十段 鳥の子(伝・俵屋宗達筆) 伊勢物語図色紙 第七十八段 山科の宮 (伝・俵屋宗達筆)

書き下し

一. 袖のうへにたれゆへ月は
  やとるそと よそになして
  も人のとへかし
一. 目には見て手にはとられぬ
  つきのうちの かつらのことき
  君にそありける
一. こぬ人をまつの葉にふる白
  雪の きえこそかへれき消えこ
  そかへれ
一. とわれぬほとはくもらはくも
  れ つゐにうつさむ袖の月かけ

一. おもは 思へうらめしのふり
  や むくゐのはやき世にあり
  なから
一. 日くれひくれにかとにたつ
  見て候きみをこそなから
一. さく華も千よ九重八えさ
  くら なむそわか身のひとはな
  こころ
一. あひおもふ中さへかはるよの
  ならい ましてやうすき人な
  たのみそ
一. よそのつらさをみれはこそ
 (君のお情の思ひ知らるれ)